兵庫慎司/音楽ライター

Theピーズが日本武道館をやる。それにあなたは加担するか、しないか。真剣に考えてみていただきたい。

Theピーズ、結成30周年で2017年6月9日に、日本武道館ワンマン。誰が想像しただろうか。2014年の怒髪天は、最初は驚いたが納得した。2015年のフラワーカンパニーズ、「埋まんのか?」と心配したが9000人を集めソールドアウト。って来たら次はTHE COLLECTORSだよね、というのも、誰もが納得する流れであった。
しかし。Theピーズである。どんなにTheピーズのファンであっても、いやファンであればあるほど、予想できなかったのではないか。少なくとも、僕はできなかった。自分たちの武道館のアンコールで「次はがんばってる先輩たちに武道館をやってほしいんだ」と、Theピーズの名前も挙げたフラカングレートマエカワも、そう言いながら実現するとは思っていなかったのではないか。

というか、本人たちも予想できなかったに決まっている。はるさんなりアビさんなりが自ら「やりたい!」と言ったとは、まあ、思えない。まず間違いなく、最初は「ええっ?」「なんで?」「ヤだ」というリアクションだったはずだ。それをヴィンテージロック代表若林敏郎か、マネージャーの宮下俊平か、あるいはそのふたりがかりで、いったいどんな言葉を尽くしたのか想像もつかないが、とにかく説得してしまったわけだ。おそらくは「自分が武道館に立つあの3人を観たい」というだけの動機で。あ、しんちゃんは座ってるか。
いくらなんでも! という気はする。半年後じゃねえか、宣伝のための日にち足んねえよ! という懸念もある。あるが、「このくらいのキャリアでこのくらいの歳でこんな状況のバンドがあえて初の日本武道館を目指す」というここ数年の流れの中において「事件度」がぶっちぎりで高いのはこの案件である、という事実は、認めざるをえない。これ以前の当事者たち、増子さんやグレートや加藤さんですら、そう同意するのではないか。

誰もが認める日本のロックの絶対基準。日本におけるブリティッシュ・ビートとニューヨーク・パンクのもっとも誠実な継承者。30年前から現在まで、文学にも現代詩にもヒップホップにも対抗しうる唯一無比の日本語ロック。上は絲山秋子から伊坂幸太郎、下はSHISHAMOまで、ジャンルを超えて後続に与え続けてきた影響の総量は本当に計り知れない。すみません、Theピーズを立派に見せたくて作家の名前を出しました。若い子にも刺さっていることも伝えたくて、SHISHAMOの名前も出しました。
もちろん、ファンに与えてきた影響の総量は、もっともっと計り知れない。Theピーズがいたから生きてこれた人、生きていられる人の数、僕やあなたが思っている以上に多いはずだ。それに見合った知名度や人気や収入などをTheピーズが得られているかというとまあそこはいろいろだが、とにかく。
Theピーズが2017年6月9日に日本武道館をやる。それにあなたは加担するか、しないか。真剣に考えてみていただきたい。特に、これまでの人生で、少しでもこのバンドにひっかかったことのある方は。Theピーズがこんなに多くの人に愛されている、その光景を武道館で目の当たりにして、「世の中捨てたもんじゃない」と心から思いたい、僕は。
一緒にそう思いたい。という人が、ひとりでも多くなることを心から願う。(兵庫慎司/音楽ライター)

兵庫慎司/音楽ライター